ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

自閉症スペクトラムASDの適職はフリーランスかフルタイムか? ~海外移住ASDの個人的考察~

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前回は自閉症スペクトラムASDが海外移住したら楽に生きられるのか?という命題で考えを深めてみました。結果「国外に住んで“外国人”というカテゴリーに分類されることで社会からのプレッシャーから解放されて生活面では心理的負担が減るが、仕事をする以上対人関係の問題からは逃れられない!」という割とリアルな回答で終わりました。

では今日は仕事面において私なりに考えたことをまとめていきたいと思います。自閉症スペクトラムASDの適職はフリーランスかフルタイムか?実際に会社員生活を日本と外国で行い、現在は半年間フリーランスを続ける中で気づいたことを整理します。

 

目次

  

ASDフルタイムとフリーランスのメリットとデメリット

まずはフルタイムとフリーランスの特徴を、ASDの特徴を踏まえた上で一長一短、箇条書きにして整理してみました。

ASDがフルタイムになるメリットとデメリット

メリット

⑴パターン化が大好きなASDにぴったりな、パターン化された勤務時間

⑵先の見通し立てが大好きなASDにぴったりな、見通しがつく収入体制

⑶会社にコミットすることで、全体像が見えて自分の仕事を把握しやすい

⑷真面目人間なASDは、働きたいだけ働ける、出世合戦に入れるのでキャリアがわかりやすい

⑸有給など、会社独自のルールがあるので行動指針になりやすい 

デメリット

⑴職種にもよるが、社内、社外とのコミュニケーションは必須

⑵自分で管理できる裁量が減るので、突然の変更や新しい事実の出現など、パニックに陥りやすいイレギュラーが多くなる

⑶多数の人間と関わることで、他者のエネルギーの影響を受けやすい

⑷真面目人間ASDだと限度なく働いて、気づかないうちにパンクする可能性もある

⑸得意な仕事だけ担当できればいいが、複合的な仕事が絡むとASDの特徴を生かせないこともある

⑹一社に一度勤めると辞めづらくなるので無理をしがち

⑺パターン化が大好きなASDがパターン化できないマルチタスクな仕事も振られる(当たり前だけど)

 

ASDがフリーランスになるメリットとデメリット

メリット

⑴職種にもよるが、対人コミュニケーションは依頼人に絞られる

⑵自分で裁量を管理できるので、突然の変更や新しい事実の出現などは減る。「内容と納期」がハッキリした仕事のみとなるため、パニックに陥りやすいイレギュラーを避けやすい(仕事がたまっても想定内ならカバーできる)

⑶主に個人作業となるため他者のエネルギーの影響を受けにくい

⑷自分個人のASDとしての特性に合わせた、何かの技術に特化した仕事内容に絞っていくことができる

⑸フリーランスで仕事をしていくので、相性が合わない依頼人や仕事は継続しないことを選べる、また他を探しに動きやすい。 

デメリット

⑴パターン化が大好きなASDだけど、勤務時間は自由、つまり不規則

⑵先の見通し立てが大好きなASDに辛い、見通しがつかない収入体制

⑶会社にフルコミットしない外部者なので、仕事の全体像が見えない

⑷真面目人間なASDは、働きたいだけ働けるが、「仕事づくり」「仕事の獲得」などの作業を経ないと「働く仕事」自体がゲットできないので、会社で働くよりも「働く」という最初のハードルが高くフラストレーションが溜まる

⑸有給などルールがないので、行動指針が自由だけれども不明瞭

⑹フリーランスの分、会社員よりも税金や保険料の個人負担が大きくなる

⑺会社員に比べて確定申告など難しい書類作業が多い 

フリーランスでもフルタイムでもポイントは「職種」選びでは?

ASDの個性として「集中力とこだわりの強さ」があり、これは「パターン化が崩れたらパニックになる、柔軟性がない」と表裏一体、諸刃の剣でもあります。しかし「パターン化が多い」また「一分野に絞って独自に知識と経験を積み重ねていける=マルチタスクの幅が狭い」職種を選んでいくと、ASDの特性を十二分に生かすことができ、更にはスペシャリストとして活躍することができるでしょう。

子供時代、学生時代に自身の特性に気づき、ひたすら磨きをかけてこられた人以外は、大抵は社会に出るまで自分がASDの特徴を持っていたことも知らず、苦手分野に苦しみながらもなんとか乗り越えて「普通の社会人」になった人ばかりだと思います。そんな人達は20代後半、30代前半に自分がASDだと気付いても「じゃ、俺の得意分野はこれだ!」とすぐに断言できるでしょうか?今は「俺はダメ社会人だ」と自己肯定感が落ちて「得意なものなんてないよ」と思っているかもしれません。職種選びはそんなに簡単ではないのです。しかし必ずありますから、そこを諦めずに掘り下げていくことが「ASDとしての個性と一緒に生きる、むしろ個性を生かして幸せに生きていく」ことの第一歩でしょう。 

自分次第で道を切り開きたいならフリーランスもあり

この職種選びがしっかりできている場合、ASDの方がフリーランスで働くのも悪くないのではないかと思いました。「フルタイムか、フリーランスか?」と考えても上記の通り結局は一長一短であるのです。しかし、考えて欲しいのはフルタイムのデメリットが「ASDとして苦手とすることから避けられない」という部分であることに対し、フリーランスのデメリットは「ASDが好むルールや見通しのいい環境ではなくなる」という点がメインです。(*保険料負担などの金銭面、確定申告などもありますが)つまり単純に「ASDが好むルールや見通しのいい環境ではなくなる」のであれば「ASDが好むルールや見通しを立ててしまえばいい=自分次第」ともなるのですね。

「働き方や収入を安定させる」という課題は、ASDの有無に関わらず全フリーランスの方々に言えることでもあります。つまりASDがフリーランスになる場合に頑張らなければならないのは「全フリーランスが通る道を通ることになるが、他の人よりも土台作りの期間が辛いだろう」という点。この際に十分な資金や理解者、対策を練っておくことができれば、前進しやすいのではないでしょうか。 

職種選びと資金、経験値が不安であればフルタイムも検討しよう

先ほどまでの流れだと「じゃあ、やっぱり柵の少ないフリーランスが一番なのかな?」と結論を出してしまいそうですが、もう一度現実的に考えてみましょう。まず、そもそもの職種選び、しっかりと出来ていますか?本当に好きで(その分野を勉強していく覚悟)、既に得意で(競合に勝てる自信)、今後続けていける職種ですか?もし、まだ自分に合った仕事を知らない、世の中にはどんな仕事があるのかわからない場合、まずは会社に入って会社社会から学ぶことも大切です。同時に会社員であれば十分な資金の確保も計画的に行えます。そして苦しいけれども大切な薬として、会社で揉まれることで「自分が苦手とするコミュニケーションのパターン」を知ったり「パニックに陥った時にはどう対処するか」など、失敗から学ぶことも長い目で見れば意義深い経験です。山籠りしない限り、私たちは社会のコミュニティーの中で生きていくことになるのです。だからこそ、逃げないで向き合うことも必要でしょう。

またASDがコミュニケーションを苦手とするからといって、会社勤めができないわけでもありません。職場が変われば対人関係の度合いも変わります。海外移住して私が少し楽になったように、職場が変わればコミュニケーションも変化するでしょう。ASDという個性を持った貴方に理解のある素敵な同僚、上司に恵まれるかもしれませんし、貴方自身が独自のコミュニケーション方法を見つけるかもしれません。会社に入ることを怖がる必要もないと思います。ここは初めてみないとわからない部分ですから、起こってもいないことばかりを恐れていては前に進みにくいですよね。私も大変だったこともあったけど、自分が「こだわりゾーン」に落ちて視野が狭くなっている時に「あ!いけない」と気付けたり、パニックになった時にいろいろ動き回るよりも、まずは「冷静さを取り戻すことに集中する、紙に書き出して可視化する」など対処法を泥沼の中から見出すことがでました。

海外移住組のASDの適職はフリーランスかフルタイムか?

はい、最後にグッと私のパターンに引き寄せます。単純なASD目線だけではなく、外国人として海外で働くにあたり考慮しなければならないポイントは多々あります。

⑴自身のコントロール化にあるフリーのビザか会社付帯労働ビザか

海外に移住したら大きな問題となるのがビザ!「フルタイムのオファーが来たら試してみようかな?」と安易に答えられないのがビザ問題です。初期の労働ビザは会社付帯のものとなりますので、その仕事が合わない場合、簡単にやめることはできません。会社に勤めているからこそ発給されているビザなのです。もちろん転職活動を行ってビザを切り替えるだとか、違う道を探す方法もあります。

じゃあ、自分次第のフリーランスがいいかな?と思いますよね。確かにフリーランスだと「仕事が合わなければ次の仕事」を探すステップが取れます。でも当たり前ですが新規依頼者を開拓するのは骨が折れます、ポキポキです。また仕事先が決まったとしても結局は部外者なんです。「フリーランスは外注」なので、内部で処理できる仕事になったら途端に需要は無くなります。だってその会社の社員を守って当然なのですから、フリーランスはまず先に契約が終わるのです。こちらから出て行く自由もあるけれども切られる自由もある、そこはシビアですよ。

⑵フリーランスビザを切り替えてもいい仕事・会社とは

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私の考えとしては「フリーランスビザ(自己管理下に自分の命運を持つこと)をやめてもいい、信頼できると思える会社に出会ったら労働ビザに切り替えてもいい」というスタンスですね。理想としてはフリーランスで仕事をしていく中で相手企業からスカウトをもらうなり、パートタイムに切り替えるなど、一定の信頼関係ができた上で考慮する流れでしょうか。これ以外となると、かなりの決断になります。ぶっつけ本番的な。でも、面接を通して実際に働いている人の生の声を聞いて会社を知ることもできるでしょう。「貴方の仕事に対するやりがいはなんですか?」「苦しい時にはどうやって乗り越えましたか?」とかね、答えてくれたら嬉しいよね。

⑶フルタイムのメリットを超えるものがフリーランスにあるか

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この際、まずは金額面もリアルに考慮するでしょうね。先ほどもあげましたが、ドイツにおけるフリーランスは保険料も税金も高い。今は稼いでないから払う額も最低限ですが、稼ぎすぎたらもっと負担が増えますからね。その点、会社と折半できる正社員はありがたい。そして社会的信用度も会社員だと高くなります。アパートを借りる際、ローンを組む際、なんだって正社員の方が信用されるのです。そのメリットを超えるものがフリーランスにあるとしたら「ASDの特徴を生かせる、ASDを個性と認めながら生きやすい」というところかと思います。ここが人生の命題になってくるんでしょうね。

⑷他にも自問したいポイント

— 本当にフリーランスじゃないとできない仕事なのか?

— 様々な人と関わって仕事する、という機会を放棄してもいいのか?

ー 長期的なプラン、戦略、目標はシッカリ持てているのか

ー ビザ変更してまで、本当にやりたい仕事か?やりがいはあるのか?

*その会社の離職率や評判、また試用期間の規定なども調べておきたいところ。もし試用期間中に「やっぱりダメね!」とクビにされた時に、すでにビザを切り替えていた場合、職なしでビザ無しアウトー!になっちゃいますので。

フリーランスで働き始めると、会社員でいると考えなくてもいいように思えることを自問することが増えてきます。自分次第だからこそ、成長するもしないも本当に自分の行動と考え方次第です。もしここから会社員になるとしたら、仕事への向き合い方が以前より変わるでしょうね。とてもいい変化ではあるのですが。

 

まとめ

今回、私が記事を書こうと思ったのは実はフルタイム職のスカウトが来たから。同時にフリーランスでの新規開拓の話も進んでいます。まだどっちのオファーも本決まりになっていませんが、かなり過渡期に立っていると思います。これらのオファー次第で大きく決断するかもしれません。その時にどちらを手にしてもきっと充実した時間にはなるが、自分の選択を後悔しないためにも十分に検討したかったので言葉にしてみました。今回書き上げてみて「ASDの個性を生かす」と決めて人生の舵を切ってきたことを再確認し、この視点は忘れてはいけないと思いました。もし無視したら同じ失敗を繰り返してしまうと思うので。

今まで稼げないけれども着実にフリーランスでお仕事を積み上げてきたとは思います。本当にギリギリだけどなんとか生活しているし、今自分がしている仕事は好きです。しかし不安定であること、はっきり自分が何者であるか口にできないことがもどかしかったし、スキル不足や専門性のなさ、最後に「現状のアウトプットばかりでインプットが少ない」ことを危惧してもいます。最近は東京の友人に比べたら今の自分はぬるま湯だな、と自省してばかりです。

結局「各自、よく考えて決めてください」みたいな結論になりましたが、考え方、考慮するポイントだけでもシェアできていれば幸いです。また動向が定まったら後々ご報告しようかと思います。心は決まっているのですが、全部の結果も出ていないのでね。

 

Do beautiful thing with your beautiful life.

最後に、アメリカの友人にもらった大切な言葉をあなたに贈ります。

頑張っていきましょう〜