ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

ベルリン見聞録:ドイツ、ベルリンに住むユダヤ人とユダヤ教行事「ハヌカHanukkah」について学んだこと

私がキリスト教徒であることからキリスト教の文化に何かと触れることが多いこのブログですが、ベルリン生活の中で知り得た友人の宗教観・文化も私が学ぶのと同時にお伝えしていきたいと思います。

東京オリンピックまであと2年。ホテルやレストランなど、ホスピタリティー産業の方は特に他文化・他宗教に関して基本的な知識を持っておきたいもの。日本を訪れる外国人の方々の中には宗教上の理由で禁止されている食べ物やルールの為、日本に来てからサポートや特別対応が必要になることもあるでしょう。今日は「ハヌカ」という行事を通して「ユダヤ教」について少しまとめてみたいと思います。

目次

 

そもそもドイツ、ベルリンにも「ユダヤ人」っているの?

第二次世界大戦でのドイツの行いもあり「ドイツに住んでいるユダヤ人」と聞くと「え?いるの?」と単純に驚いてしまう人もいるかと思います。先月の「ハヌカ」の時期に私は2つのユダヤ教徒のイベントに参加したのですが、どちらのイベントにも多くのユダヤ人が参加しており、とても盛り上がっていました。過去に悲劇はありましたが、今でもドイツ、ベルリンで生活するユダヤ人はいます。

またベルリン市内にはユダヤ関連の施設も多数存在します。これは事実として記載したいのですが、ユダヤ関連の施設は規模の大小は関係なく、建物やイベントに入場するにあたりかなりしっかりとしたセキュリティーチェックがなされます。金属探知機に、X線での荷物検査。空港のセキュリティーチェックと同じものです。ユダヤ関連施設はテロや攻撃の対象になりやすいと言う認識のようです。

「こういう風に大げさに警戒しすぎるから、今もユダヤ人は嫌われるんだ」

と言う意見を聞きました。確かに、排他的な雰囲気を感じる時もあります。しかし6年前に中国の天安門を訪ねた時、サクサクと入場ゲートをくぐる外国人観光客を尻目に、自国の中国人観光客は徹底的なセキュリティーチェックがなされていました。当時はウイグル自治区の問題がヒートアップしていた時期でした。その時々の時勢により、警戒態勢や警戒対象も変化するかもしれません。

「民族として数が少なく、後継者を守っていかなければいけないのだから警戒するのは当たり前」

今回ハヌカのイベントに連れて行ってくれた友人はセキュリティーに関して必要なものと言い切りました。ベルリンでのユダヤ人、関連施設の一面は、まずはこんな感じですかね。あくまでも私からの視点ですが。

まず「ユダヤ人」ってそもそもどんな人ですか?


”ユダヤ教
を信仰する人々。ヘブライ人とも呼ばれる。広義では,世界各地に離散した旧約聖書ヘブライ人を継承する,パレスチナに起源をもつ人々の子孫や,ユダヤ教に改宗した者も含める。ただし,民族や宗教の問題をはらむため,すべての人々が納得のいくように定義するのは難しい。言語的には本来はセム語系で,宗教用語としてセム系のヘブライ語を共有する。前2000年頃からパレスチナ地方に定着し,ユダヤ教を発展させた。前1000年頃からサウルダビデソロモンによる王国を形成し黄金時代を迎えたが,その後王国は南北に分裂し,滅亡した。前6世紀末にエルサレムの神殿を中心に神政政体を確立。さらに前2世紀に再び王国を建設したが,前63年以来ローマの支配下に入り,約 1世紀にわたる内乱の末,70年ローマにエルサレムを破壊され各地に離散した。しかし 19世紀末からユダヤ人によるパレスチナ回復を目指すシオニズム運動が盛んとなり,1948年イスラエルが成立。2000年余の建国の宿望を果たした。”

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ユダヤ人(ユダヤじん)とは - コトバンク

 

上記のようにですね、どうにか上手くまとめても「ユダヤ人を定義することは難しい」とされているんです。私の友人は「ユダヤ人の系譜を持つ者ではあるがユダヤ教を信仰してはいない」為、上記の定義に当てはめると「ユダヤ人」にはなりませんし、本人も「私はユダヤ人ではない」と明言しています。

彼女の価値観だと上記の定義と少し変化して「ユダヤ人とは宗教だけではなく、人種でもある。ユダヤ教の習慣、文化は『ユダヤ教であるか、ユダヤ教を信じるか』は関係なく、ユダヤ教の教育を受けて生きてきた人に受け継がれている。その為ユダヤ教を信仰してはいなくとも、ユダヤの系譜を持つ人がいる=広い意味でのユダヤ人も存在する」と説明してくれました。

一般的には「ユダヤ人とは女系である。母親がユダヤ教徒であれば、その子供もユダヤ人になる」と言われています。私の友人は「母方の祖父だけがユダヤ人だった」とのことなのでこの定義からすれば、やはり彼女はユダヤ人ではないとのこと。まあ、これ以上「ユダヤ人とは何か?」をここで論じるつもりはないのですが、ザックリとそのような背景があるとだけでも知っていただければ。  

ユダヤ人が大切にしている「ハヌカ」ってなに?

ハヌカのお祭りの起源はキリストが生まれる前、紀元前167年頃に遡ります。当時ギリシャからユダヤ教徒が侵略、弾圧されていた際、反乱を起こしたユダヤ人達は奪われていた神殿を取り戻し、神殿を清めて神に祈りを捧げました。この出来事を記念する行事がハヌカです。

その時には手元には光源として使える少量のオリーブオイルしかなかったにも関わらず、1日分のオリーブオイルで実際には8日間も光を灯し続けられた、という奇跡が起こったとのこと。その為、ハヌカのお祭りでは8日間、光を灯し続ける習慣が始まったと言われています。

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これがハヌカの光を灯す燭台「Menorah」で、9本の蝋燭を立てることができます。キャンドルのつけ方にもルールがあり、8日間ルールを守って光を灯していきます。

⑴ まずは中央のキャンドルに火を灯し、その光で別のキャンドルに光をつけていきます。

⑵ キャンドルは、右側から1日1本ずつ光を灯していきます。

⑶ 毎日日没後に行い、毎日キャンドルの数を増やします。

⑷ 光を灯す時間は大体30分程度。ハヌカ用のキャンドルも45分で燃え尽きる長さのものが売られています。

⑸ また家全体を祝福する時は玄関にキャンドルを置くこと。もしシェアハウスなどに住んでいる場合は、自分の部屋だけで行います。

*サバス(安息日)と呼ばれる金曜日には日没後にキャンドルに点灯してはいけないことになっているとのこと。日中、もしくは日没前に大きなキャンドルを5時間点灯するするらしいですよ。

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ベルリンでもハヌカ用のキャンドルセットが売られています。8日間しっかりとハヌカを行うと合計で44本のキャンドルを使用することとなります。

*すごい詳しくハヌカの情報をまとめていらっしゃるのが下記のサイト。興味を持たれた方は是非ご覧下さい。

ハヌカの祭り

 

「ハヌカ」に関連する、ユダヤ教の文化って他に何があるの?

キャンドルの箱にも記載されていますが、ハヌカの際に歌う伝統的なヘブライ語の歌がこちら。平和を祈った内容だとのこと ♬Maos Tzur♬

www.youtube.com

ハヌカの時期に食べる料理には揚げ物が多いです。まず単純にオリーブオイルのシーズンだということと、オリーブオイルが奇跡の象徴であることも関係してオリーブオイルで揚げた料理が多いのだとか。

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一例としてこちらの料理。「Latke ラトカ」と言ってポテトパンケーキみたいな料理。卵とジャガイモの生地を油で揚げただけ。これにリンゴジャムやサワークリームをのせて食べます。因みにユダヤ教で禁止されている食べ物について簡単に紹介しますと、ルールとしてはこんな感じみたいです。

Koscher コーシャー=食べても良いもの。それ以外の食べ物を宗教的に不浄なものとして食べないようにしています。

ユダヤ教徒が食べてはいけないもの :例

—豚肉や野兎(反芻しない、もしくはひづめが完全に分かれていない動物)

—エビ、牡蠣、タコ、イカ(海や川の生き物のうちヒレやウロコのないもの)

—ソーセージ(血液を使っているもの)

*他にも沢山あります。詳しくは下記のサイトにまとめられています。とてもルールが細かく、厳格に守ろうとするとかなり大変そうです。興味がある方はどうぞ。

myrtos.co.jp

 

ベルリンの「ハヌカ」ってどんなイベントがあるの?

@ブランデンブルグ門

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今年のハヌカは12月13日からスタートでした。友人に誘われて出かけたのはベルリンの観光名所「ブランデンブルク門」クリスマスもカウントダウンも、大概重要な行事では何かしらここでイベントが開催されます。

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ハヌカ初日だったのでコンサートや、揚げパンが無料で振る舞われたりとユダヤ文化に触れることができるイベントでした。セキュリティーチェックが厳しいからか、また小雨と天気に恵まれなかったからか参加者はイベントの規模の割には少なめに見えました。

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ユダヤ文化を体現したベルリンの象徴クマちゃんのゆるキャラもいました。ゆるキャラを設定するのって世界的なムーブメントなのかしら?確かに身近に感じられて写真撮りたい!ってなりますね。

 

@ユダヤ博物館

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今までに世界22カ国を旅してきて数多くの博物館を訪ねてきたのですが、その中でも素晴らしいと思ったベスト博物館の1つがベルリンにある「ユダヤ博物館」です。外観からしてユダヤ人が辿った苦難の歴史に思いを馳せるデザインになっていたり、実際の展示物も体感型の作品が多く、感覚的に「迫害の歴史」を知ることができる博物館です。そして当たり前だけども忘れてはいけないのは「ユダヤ人の歴史」は「迫害の歴史だけではない」ということ。この博物館ではユダヤ教について、ヘブライ語について、ユダヤの文化をたっぷりと学ぶこともできるので、本当に広い意味で「ユダヤ博物館」ですね。何度訪ねても学ぶことが多いし、視点を変えて勉強できるので、ベルリンに友人が来るたびに一緒に行っちゃう。もう3回は行きましたね。

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玄関はこんな感じでクラシカル。セキュリティーチェックを通ったらチケットカウンターで「今日は観覧ではなくて、ハヌカのイベントに参加にきました」と伝えると「あちらのカフェテリアですよ〜」と入場料無料で案内してもらえました。

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今日のイベントでは実際にハヌカのキャンドルに光を灯したり、歌を歌ったり、楽器隊の演奏を聴いたりと盛りだくさん。

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「皆で歌いましょう!」と歌詞カードも配られました。

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イベントで光が灯ったキャンドル。とても綺麗な燭台ですね。博物館のショップではハヌカに合わせて様々なタイプの燭台が売られていました。

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このように蛇をデザインしたものも。ユダヤの玩具やアクセサリーなど、様々な文化に触れることができる貴重な1日でした。

 

「私はユダヤ人でもなければユダヤ教を信仰しているわけではない」と語る友人が、それでもベルリンで「ハヌカ」を祝う理由とは?

何度もブログで紹介させて頂いているのですが、今回私を誘ってくれたのはポルトガル人で建築家のマギーちゃん。彼女はポルトガルの歴史と家族の歴史を話してくれました。(そして「日本の人が新しいことを知るキカッケになれば」といつも私の質問に真摯に答え、ブログの内容が良くなるように色々と教えてくれます。)

まず、彼女は「家族が辿った文化を知る、ということは自分を知ることだ」と語り始めました。彼女とユダヤ教の関係性を整理すると、彼女の祖父がユダヤ教徒でした。しかし祖母がキリスト教徒であったし、マギーちゃんのお母さんの義母もキリスト教徒であったため、マギーちゃんは「ユダヤ教徒」には当たりませんし、彼女もユダヤ教徒、もしくはユダヤ人としての自認はありません。

彼女の母親は学校も、救育もキリスト教の中で育ちました。お母様の育ての母親にあたる人は「あなたのお父様はユダヤ人で、あなたにはユダヤのバックグラウンドもあるのよ」と教えていましたが、その当時のポルトガル(1940-74年代頃)はキリスト教系の独裁政権であり、ユダヤ教は異端と思われていたため、マギーちゃんのお母様はあえてキリスト教の教育環境で生きてきたとのこと。

(*当時のポルトガルは経済も悪く、世間からは強いリーダーシップが求められていた。その世論にのって経済に強い大臣サラザール Salazarが総理大臣にまでなり、大統領を無視して強硬な政治を行ったとのこと。)

マギーちゃん自体もキリスト教的な環境で教育を受けて育ちましたが、あまり信仰深い人ではありません。しかしベルリンに移った2年ほど前から、自分のバックグラウンドへ興味をもつようになり、ベルリンでユダヤ教の行事を祝うようになったとのこと。宗教的な意味合いというよりも、自分のルーツへの理解を深めたいという思いから行動を起こしているそうです。

 今回私が彼女に「一緒にハヌカのイベントに行かないか?」と誘われた時、私が快諾した理由も同様でした。知らないことを知りたい、理解したい、シンプルです。私が知らないなら、他にも知らない人もいるだろう。今後オリンピックの話題が盛り上がっていくにつれて、きっと外国人の風習や宗教観、また価値観への関心も高まっていくと思います。国際色豊かな街ベルリンで見聞きできる多文化に関しては今後も「ベルリン見聞録」で紹介していきたいですね。

 

さてさて、次回からはクリスマス時期にtwitterで連続投稿しまくった「ポルトガル最高!」な旅行記を全5回にわたってお送りしたいと思います。お正月ネタを終わらせ、再度クリスマスどころかハヌカにまで遡り、もう一度「今度はポルトガルのクリスマス事情をお届け!」って時間軸ばらばらですけれども、ポルトガルのネタはまとめて投稿したかったので、こんな並びとなりました。

では、ポルトガルにいつかは旅行してみたいと思っている方も、思ったことがなかった方も!きっと私の写真満載で、ほぼ「ポルトガルは美味い!」な記事を読めばポルトガルに旅行しに行きたくなることでしょう!今月残りの記事は全部ポルトガルネタとなります。どうぞお楽しみに!(ベルリン情報は皆無です!)