ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

賽は投げられた!ベルリン最悪スタートアップに辞表提出。腹の探り合い、ポーカーゲーム開始。

目次

「彼らが誘いに乗るかは分からないわよ?」日独フリーランスのお姉さん、お兄さんにアドバイスを貰ってきました。

辞表提出前日に自分で英文の契約書を仕上げて、ドイツ人フリーランスのお姉さんと、日本人フリーランスのお兄さん、三人で話をしました。ドイツ人の彼女は「ドイツ企業は切ると決めた人間は切る。その上辞表を提出した、つまり『そこで働いて行く意志がない』人間を再雇用しようとはしない。どうせ再雇用しても働いて行くモチベーションが低いって分かっているからね。辞表は同時に退職が普通よ。」と私が計画している①辞表提出②交渉の機会を待つ③フリーランスの契約をオファー、の流れは危険すぎると言いました。日本人のお兄さんは「この子の会社は話を聞く限り、かなり日本人を舐めているから、まさかこの子が辞めるとは考えていない。この子の後釜もいなければ、バックアッププランも見えない。だからこの子のオファーを飲まない限り、この会社はビジネスとして今後成り立たないと思う。」と私の計画を押してくれました。私は「最悪このまま辞職になって、しばらく無職になったって良い。その時はもともとの計画通り、通訳や翻訳の仕事を探してきて働くし、どこか他に働き口がないか、フリーランスのまま頑張るよ。会社に付帯する労働ビザにはこりごりだ。会社の経営陣を一切信用出来ないから。」と伝えました。その上でドイツ人の彼女は「そこまで無計画に経営している会社があるならば、本当に驚きねえ。」と言って、最後まで私の計画を心配しつつも「じゃあ、無職にならないように頑張りましょう!」と直ぐにその場で登録すべきトランスレーター(翻訳家)のサイトや会社を紹介してくれました。このお姉さん、ガチで色々と話が早い。フリーランスになった場合の保険の話や税金の話、ドイツ人側の意見を聞かせてくれます。また日本人のお兄さんも「日本人だったらこの保険が使える」だとか「翻訳家やライターとしてKSK(アーティスト向けの保険組合)に登録出来ないか挑戦してみよう」とか、色んな手段を教えてくれます。会社に従属しない以上、今後の私の大きな障害は「保険」と「雇用=働き口」です。フリーランスとして働いてきたドイツ人、日本人の両方から同時に意見を頂けたことは、何よりも有り難いことでした。

そんな時、「本気で辞表を出すならば、2週間後じゃなくて退職日を8月末とかにしちゃえば?」とドイツ人の彼女にアドバイスをされました。「どうして8月末?2週間前に通知すれば良いから、明日(8月7日)提出したら21日には退職出来るはずだよ?」と答えると、「別に8月末に退職するってしても、会社に出勤して働く必要は無いじゃない?」とニヤリ。「ドイツ人はね、退職を決めたらまず、一気に休暇を消化するの。休暇が足りなければあとは『シックリーブ(病欠)』よ。『会社で散々な扱いを受けて精神的に参っている』とでも医者に訴えれば、一週間ぐらいは余裕で診断書が出るわ。8月末まで給料は頂いて、その間は理由を付けて出社しなければ良いのよ。」と驚きのアドバイス。「え、でも病欠届けとか、会社に提出しに行かなければ行けないんじゃない?」と私がそれでも食い下がると、「そんなもの郵送よ、郵送。別に届きさえすれば良いのよ、手渡しなんて丁寧なことをしてあげる必要は無いわ。病欠のまま最終勤務日を迎えて、そのまま給料だけ貰ってしまえば良いのよ。」と言って、そのまま『病欠の理由となる診断書を発行してくれ易いお医者さん』を紹介してくれました。

「They have shit on you, so shit on them back.(奴らが先にやってきたんだから、やり返してやれ)」とも。私からしてみれば、もう唖然。はあ〜、そんな手段があるのか。

その後彼女と別れてから、日本人のお兄さんとご飯を食べたのですが彼はハッキリと「俺達は日本人だからね。立つ鳥跡を濁さず、だよ。」と私に言いました。私もその通りだと思い、退職届は21日付けで書こうと思いました。「私、きっと31日付けで辞表を書いても、結局申し訳なくなっちゃって真面目にその日まで働いちゃいそうだから。その方が疲れちゃいます。だからこのまま2週間通知で提出します。」私が「日本人はどうしても真面目ですね〜」と話すと、お兄さんは「二週間しかないって思わせた方が良いこともある。その方が焦るし、交渉はし易くなる。」とも。うーん、スゴい。私一人だったらここまでこれなかったなあ。本当にアドバイスを下さったお二人には心から感謝しました。

(因にシックリーブの手法はものすごく一般的と言えるぐらいにまかり通っているとのことで、知り合いの話では「三ヶ月シックリーブを行使して、退職日まで乗り切った強者もいた。」とのこと。民主主義、個人主義、どんな主義の国でも良いのですが、まあ日本ではなかなか聞かない大胆な手段ですね。よく聞く話であることが、ある意味本当にスゴい。)

 

朝一番で辞表提出。全ては「会社の利益の為に」

次の日、私は辞表を2枚印刷して、それぞれに直筆のサインを書き入れました。「これを提出したら後には引けないんだ。」そう思えば怖さもありましたが、それ以上に「これ以上ビザを逆手に弄ばれたくない」という怒りのエネルギーが勝っていました。『退職まで2週間』という数字はリアリティーを持って会社にプレッシャーをかけることが出来ます。普通は勤務後に提出されるのが一般的である辞表届けですが、私は朝一番、社長が出勤したと同時に提出しに行きました。それは『退職まで2週間しかないので、一日でも無駄にしてはいけないと思うんです。今すぐに一番重要なプロジェクトとオーダーを確認して、2週間で最善の結果を模索しましょう。』と、提示しました。またビジネスの礼儀として『日本側の業者様にも退職の挨拶を始めたいので、一週間以内に後任の方を選定して下さい。最後の一週間、来週の月曜日には各業者様に引き継ぎのご挨拶を送ります。』と伝えました。つまり言いたいことは「一週間しか待たないから、退職されたくなかったらさっさとアクション起こしてね。」というメッセージです。でも私の怒りや戦う姿勢を強烈に与えてしまうと彼らに色々と準備されてしまうので、私は『本当に残念です。でも出来るだけビジネスに支障が出ないように私も最大限尽力します。』と表面上は穏やかにしていました。また「折角三ヶ月のチャンスも頂いたのに、ごめんなさい。」とも付け加えておきました。狡猾な彼らとのポーカーゲームは既に始まっているんです。常に驚かせて、焦らせ、判断を鈍らせて私の最善策まで押し込んでやりたいんです。

 

解雇予告通知が一瞬で消滅!「明日一緒にシュレッダーにかけよう!」

もちろん社長も驚いていましたが、最初は「君が決めたことならば仕方ないね。」と受け入れる姿勢を見せました。でも物事がリアルに聞こえてくると、「もし、3ヶ月後の解雇予告通知が君を不安にさせたのならば、今すぐに解雇通知を取り下げても良い。あれは君に『もう少し頑張ってね』というメッセージを与える為だったから、そこまで深刻に受け止める必要は無かったんだよ?」と言い出しました。そして「君が持っている解雇通知のオリジナルと、僕が持っている解雇通知のオリジナルを、明日一緒に持ち合わせてシュレッダーにかけよう。そしたら何も無かったことに出来る。」とまで言いました。私は「でも、解雇通知がなくなったら私の契約はどうなりますか?」と聞くと、「もちろん、本来の契約のままになるよ。」との答え。私は日数をちゃんと数えていたので、わざと「本来ならば試用期間は先週まででした。今の私は何になりますか?」と聞きました。社長は「その場合は既に今日から終身雇用になっているよ。だから大丈夫、君はもうすでにドイツの労働法で守られているよ。」と明言しました。

つまり、私は捨て身の辞表を提出することで三ヶ月後の解雇通知をひっくり返したばかりか、試用期間も終了したので、今後はドイツの労働法に守られる立場へと上昇しました。本当に、捨て身のポーカーゲームで、良いカードが回ってきた、という状況です。でもね、口約束なんて信用出来ません。私は「また明日、オーナーを含めてお話し出来ますか?」と聞きました。「それまでは、辞表は日付もこのままにしておいて下さい。」とも。

物事が終わるまで、簡単に書類を破棄したり、渡してはいけません。今、私が三ヶ月後の解雇通知の紙を破棄してしまえば、自動的に「2週間前通知の辞表」の意味がなくなってしまうのです。正規採用となれば簡単に首が切られないのと同時に、辞める際にも一ヶ月前の辞表提出が義務づけられます。だから、私は解雇通知を破棄するつもりがありません。この通知のお陰で私は『二週間以内で決着させる』という戦略を立てることが出来たのですから。「解雇通知が二週間前」と言う期限は私を不安にさせるには充分なプレッシャーでもありましたが、同時に会社にも「二週間」というプレッシャーを与えることに成功しました。また、私は試用期間の終了となるこの月曜日を待っていたので、意を決してポーカーゲームを仕掛けたのです。悔しい気持ちを抱えながら今日までカードを用意してきました。そのカードの一枚一枚には、その背景に協力してくれた友人達がいます。全てのカードを適切に、大切に切って、私は最終目標の「フリーランスとしての契約を勝ち取り、それをレファレンス(推薦状)の一部として利用することで、確実にフリーランスビザを取りに行く」ことを達成したいと思います。

 

「週末に何本の電話をかけたか分からない」チームメンバーに“フリーランスビザ取得の意味”を印象づける

さて、最後に私は心を痛めながらもチームメンバー(日本市場以外の買い付けチーム)に辞表を提出した旨を伝えに行きました。それには2つの理由がありました。表向きには(これも嘘ではないけど)「私が退職することでチームに与える影響を考え、出来るだけ早いうちにチームで対策をとれるように話し合いたい」から。そして本心としては「チームメンバーに私がフリーランスビザを申請している背景事情や理由(彼らに聞かせたい内容)を理解してもらい、その上でチームから経営者に『フリーランス雇用でも何でもいいから、しばらくは彼女を残せ』と水面下から話して欲しい」ため。彼らは本当に悪い人達ではないし、今から一緒に頑張ってチームを作って行こうとやっと動き出したところでした。私も彼らに認められるように、終業後はどんなに忙しくフリーランスビザの為に動き回ろうとも、就業中は全力で働く姿勢を見せてきましたし、最大限のコミュニケーションと協力体制を示してきました。なので、彼らも私が苦肉の決断をしたことは分かっていますし、そんな彼らに『コイツが抜けたらチームビルディンが崩壊する』と思って欲しかったのです。

経営陣は私の働き方や内容を過小評価してきます。でも身近なチームメンバーはどうでしょうか?彼らが経営陣に直訴すれば、経営陣も『他の奴らに無理をさせて働かせればなんとかなるかな〜』というアバウトな考えで私を切ってくることはなくなると思うのです。だからここで身近なチームメンバーに話しておくべきだと思いました。もちろん本心から話せることは話しましたが、伏せるべきカードは次のタイミングまでは伏せています。とりあえず、彼らは私に対して同情的ですし、一緒に経営陣に無茶を言われてきた彼らです。私の行動だって理解出来ないわけじゃない。私は「最大限可能性がある道を模索して動いている。」と話しますし、彼らは「正規雇用はものすごいチャンスだから、感情に流されずに今は冷静になれ。」と諭してきます。「会社を辞めてどうするのだ?」との質問をしてくれたので、私は「フリーランスビザ申請の為に、既に動き出しているから頑張る。」と答えました。彼らもドイツの厳しさを知っているので「フリーランスは止めておけ、良いことは無いぞ。」と止めてきます。私がここで出したかったカードは「フリーランス取得の為に既に動いてしまっていて、多くの友人を巻き込んで何とか進んでいること」と言う事実です。私一人だけの問題ではなくすることで、私個人の判断だけで覆せないことを伝えました。「友人の会社と既に話がついているから、きっと辞めても頑張って行けるよ。」と伝えることで、逆に「フリーランスで頑張るから、会社に残る道はない」と示しました。

(この後、彼らは実際に社長室に走っていって『あの子が辞めないように、日本人チームの待遇をもっと考えてくれ』と社長に意見していたとのこと。『なんであの二人がイキナリ協力的になったの?』とその場に居合わせた経理のお姉さんが不思議に思ったようで、社長室での出来事を翌日教えてくれました。思惑通りと言うか、単純な事実として『彼らが彼らの利益の為に行動した』だけだと思います。だって本当に、彼らだって忙しいのに、これ以上他の仕事を引き受けることは出来ないのですから。)

次のカードは最後の「フリーランスビザしか考えていないので、雇用するならばブリーランス契約を結んで下さい。」ということ。また友人の会社との兼ね合いを引き出しに、値段も勤務日も交渉します。まだカードは残っているので、上手にこのポーカーゲームを乗り切って、そして最後には私が欲しいものを、この手に掴みたいと思います。

 

TAKE IT ALL!! BE INDEPENDENT!! (全部つかみ取れ、従属するな!)

こんなに強気に書いていても実は心のどこかで声がするんです。「もう、充分だ。既に正規雇用を勝ち取ったし、もしかしたら少し給料も上げてもらえるかもしれない。ビザだって確実になった。だからもう戦って『ビザ無し職無し』のリスクを取る必要は無いんじゃないか。」って。でも、心のどこかでは最後まで戦いたい自分がいる。だから大好きなアメリカの友人に電話してみました。彼女はもう、まさにアメリカンドリームを地で行くタイプなので、基本的に『人生と戦う』タイプ。彼女に「勝負の直前で怖じ気づけないようにアドバイスが欲しい」と弱音を吐くと、「TAKE IT ALL!! BE INDEPENDENT!! (全部つかみ取れ、従属するな!)」と励ましてくれました。つまり、会社に従属すれば目下のビザもお金も手に入るが自由がないと。しかしこのまま戦えばビザも仕事も自由だって手に入る可能性が残っている。彼女は「You are bad ass, go get all! Take it all! (アナタはイケる、やっちゃえ、全部とってこい!)」と私を鼓舞してくれました。うーん、流石自由の国、アメリカって感じですね。とても分かり易くていいと思います。良い人に電話しました。

 

“If we burn, you burn with us!” 

(私達が燃え去るのであれば、アナタだって共に燃える運命よ)

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さて、次はポーカーゲームの続きをご報告したいと思います。きっと金曜日までは揉めると思うので、週末に何か(できれば望んだ形での)報告が出来ればいいな、と思います。

もし上手くいかなかったとしても、今の会社では過去誰一人としてここまで戦った人はいなかったんです。(事情と戦略を知っている数少ない)ドイツ人の同僚ですら「アナタは強い。私はココまで捨て身で戦えない。」と言ってきました。ドイツ人の彼女だって、この会社から契約書を貰うまでに4週間も宙ぶらりんにされたし、今だって会社が良い場所ではないと分かっているから頑張って転職活動しているけど、ドイツ人の彼女ですら転職活動が上手くいかずに苦しんでします。(今のベルリンは本当に就職難です。私も今後、再就職出来るか、フリーランスとしての仕事が見つかるか、別の戦いがすぐそこに迫っております。)本当に、このような状況で苦しんでいるのは外国人だけではない。ドイツ人だって苦しんでいる。ただし、外国人の方がより酷使されるし、より弄ばれています。私は強いんじゃない。怒っているんです。理不尽や不当な扱いを受け入れることが出来ない。ここで最後まで戦うことが出来たら、きっと今後も頑張って行けると思うから。どんな結果になっても、その道で頑張ります。

 

最後は私の頭で永遠にリピートされている、ハンガーゲームの有名なカットニスの演説シーン。

www.youtube.com

最後の台詞“If we burn, you burn with us!” まさに「死なばもろとも」。

別に私自身を過大評価しているのではなくて、事実として今私が抜けたら誰もオーダーや業者様の情報を管理出来なくなる。このまま二週間でやめても良いのですが、ビジネスに損失を与えたいなんて思っていません。でもこのまま徹底的に押しつぶしてくるのならば、台詞通り、一緒に燃えてしまえば良いでしょう。私は燃えカスになる前に撤退致しますので、後は会社として何とかして下さい。(このあと八つ当たりされるであろう同僚達がとっても可哀相。コレばっかりは、私の力では救えないので、無念です。)きっと週末まで無茶苦茶なことを言われたり苦しめられたとしても、このカットニスの言葉を胸に、強くありたいと思います。

 

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