ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

何を持って「最悪」を定義するのか。—ベルリン最悪スタートアップで解雇予告通知を渡されて労働ビザの可能性を示されても、自尊心がソレを拒絶した。—

まだまだ続いております、「ベルリン最悪スタートアップ」編。早く好きな映画が見たいし、ボルダリングも登りに行きたい。今だったら一日4本続けて映画見ても絶対飽きないし、ボルダリングだっていきなりグリーンレベルも制覇しちゃうぐらいの勢いでエネルギーが体中に満ち満ちています、が!そのエネルギー全てはビザ取得の為に。そして今後の生活を勝ち取る為に全てエネルギーを注いで行きたいと思います。

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「ベルリンってよくよく考えてたら傷だらけの街だよね。」

そう考えたら、必死で戦う私にはお似合いな街にも思えてくるから不思議です。

 目次

水曜日の朝に経理担当者から「3ヶ月後の解雇通知予告」を受け取りました。

「今後はフリーランスビザでやって行こう!会社とはフェアな立場で働いて行くんだ!」と決意した火曜日から一夜明けてからの水曜日。出社するといきなり経理さんにオフィスに来るように呼ばれました。そして泣きそうな顔で「I’m so sorry.(本当にアナタに対して申し訳ないわ)」との言葉と同時に、タイトル通りの紙を渡されました。え?三ヶ月後?どうして経理担当者が私に渡すわけ?What? Why? 疑問が沸き上がるままの急展開ですが、「ああ、金曜日に言っていた『三ヶ月間だけ試用期間を延ばしてやる』っていうアレか。」とすぐに納得がいったので、「ねえ、『受諾=納得しました』って形じゃなくて『受領=受け取りました(受け取っただけ)』って形でサインする仕方を教えてもらえる?」と経理のお姉さんに聞きました。彼女は私が金曜日に何を言われたのか既に知っているので、もの凄く怒りながらも「社長のサインの下に『Erhaltem am 日付、サイン』って書いたらいいわよ。」と教えてくれました。私は「分かった」と言って、その場でペンを借りてサインをしました。普段から仲良しの経理のお姉さんは「こんな仕打ちは間違っている。そして私がこの通知を渡すべきではない。私の仕事じゃない。社長自身か、せめてチームリーダーから渡すべきよ。」と気丈に振る舞う私に更に涙を誘われたようで、「私だってこんなことさせられたくないわ。契約書にこんな仕事内容は書かれていない。私だって違法な指示を受けている。」と泣いていました。「違法な指示は、全て画面をスクリーンショットして、プリントアウトしておいた方が良い。」とお姉さんに言うと、「うん、今までのSlack(社内コミュニケーション用のチャットシステム)の会話記録で違法性がある指示は全て既に証拠として保存しているわ。この件も、もちろん証拠として取っておく。」と言ってやっと笑顔を見せてくれました。流石!

この会社では私だけじゃなくて本当に多くの人が会社のストレスフルな指示や違法性のある指示に疲れ切っています。私個人のブログでこの会社の違法性を追求したいわけではないから記述は省略しますが、やっぱり人間は性善説なのかな。「違法な指示を受けて平気で実行出来る人」なんてそうそういません。精神的な不健康は、もちろん身体的な不健康として身体に表れてきます。経理のお姉さんは、いつも目の下にクマを作っていました。ポーランド出身の彼女はそれでも「ポーランドで働くよりもマシよ。」と言います。私はポーランドの大変さを詳しく知らないけれども、それでも何かが間違っているとしか思えない。だって彼らが「ポーランドで働くよりはマシ」と思ってくれている限り、会社は「ポーランドには帰りたくはないだろう、ベルリンで働きたいんだろう?」と何だって彼らに押し付け続けるのですから。

 

辞表を書く前に、会社で一番信用していなかったチームメンバーと腹を割って話した。

本当は話すつもりも無かった。私が辞表を出した後に、「えー!日本チーム崩壊じゃん!」とイキナリ困れば良いとすら思っていた。だってそれぐらいに買い付け担当チームとして破綻していたから。買い付け担当チームの「日本市場以外チーム」が一応のチームリーダーとしての権限を持っているのですが、一切チームビルディングの機会を取ろうとしない。今後の方向性だって示してもらえない。チームを形作りにおいて、誰かが抜けるのであれば必死になって再構築しなければ今後対応出来ないのに、一切今後のプランを作らない。長年勤めた先輩が去る2週間前でもこの有様。私が去ってしまえばどうなることやら。「勝手に慌てればいいよ、バカ!」みたいに内心怒りのエネルギーで爆発していたのですが、そんなのとってもアンフェアだ。彼らは悪い人間じゃない。仕事に必死で本当にそれ以外のことを考慮出来なくなっているだけかもしれない。彼らだって苦しくてどうしようもないのかもしれない。だからアンフェアなことはしたくなかったので、彼らと話すことに決めました。

最悪な水曜日を過ごした翌日、社長との「書類の内容に関する話し合い」のミーティングをすっぽかされた(もう今更驚きもしない)私は、契約書を持って彼らに私の状況を説明しに行きました。社長から解雇の書類を受け取ったこと、ビザが今月末で切れるが、労働ビザの申請には「1年以上の雇用契約書」が無ければならないので「三ヶ月後に解雇される」身ではビザの申請も出来ないので、そもそも月末以降はドイツにすら滞在出来ないこと。(心の中では「まあ、フリーランスビザ申請して何とか滞在してやろう」と思っていたからコレはハッタリなのですが。)

「9月には日本出張を控えている。それに先輩が退職する今、日本側の取引先には引き継ぎの挨拶を始めてもいる。しかし、この状態では出張に行く以前に来月からの労働許可も滞在許可も取れなければ、そもそも働き続けるかも分からない人間が日本側との取引に挨拶をして関わって行くことは出来ない。」とチーム構築上、というか今後のビジネス上発生しうる問題点を指摘しました。その上で、「これ、チームとしてはどうやって対応するつもりですか?会社としてはどんなプランを持ってして、私にこの紙を渡したんだと思う?」と彼らの意見を聞きました。

彼らは慌てて「何事だ!?」と私が「読んでくれて構わない」と手渡した私の雇用契約書と解雇通知予告(って何なんだよ、そもそも『予告』って!笑)の書面を読み始めました。すると「なーんだ、安心した。」という顔になって私に「大丈夫だ、慌てるな。」と話しだしたのです。

「まず、この『解雇予告通知』は本来だったら与えられない。普通に不満があれば会社は『もう働いて欲しくないから一ヶ月後に辞めてくれ。』といって『解雇通知』を渡してくる。これはまだ君に『期待してくれているから』なんだ。それに、こんなに良い条件の契約書はなかなか手に出来ないぞ。本契約書(働き始めた時にサインしたもの)には雇用期間が書かれていない。『Dieser Vertrag tritt ab 日付(私が働き始めた日) in Kraft und wird auf unbestimmt zeit geschlossen(この契約日より、この契約は無期限で有効だ)』って書いてあるじゃないか。こんな契約書を最初から手に出来る外国人はなかなかいない。コレさえあれば、まず銀行から融資だって受けられるし、条件がいいローンだって組める。」契約書を手に、この契約書がドイツ社会で持つ意味合いと、そして会社が持つ意図をポーランド出身の同僚が説明してくれました。またドイツ人の同僚が更にビザ申請について話してくれます。

「この契約書さえあればビザぐらいすぐに通るぞ。だって雇用期間が限定されていないからね。会社が提示した『解雇予告通知』なんて外国人局には提出しなくても良い。そのままビザを申請してしまえばいいんだ。」つまり、三ヶ月後に解雇される身でありながら、そのまま当初受け取った労働契約書を持って申請に行けば労働ビザは発行されるだろうと説明してくれます。ドイツ人の彼が買い付けチームのリーダーに当たるので、私が「ビザのことも、解雇通知のことも理解しました。では、チームビルディングに関してはどのように考えているの?」と質問すると、彼は苦しそうに答えました。「君たちの日本チームは破綻しているから、失敗ばかりで満足な結果が出せていない。これからチームを再編するにあたって、君にもう一度チャンスを与えたいと思っているんだよ。」と社長に言われていることをそのまま伝えてきているようでした。更に甘い蜜のように「大丈夫だよ。解雇されるまでの3ヶ月間の間にもう一度結果を出して君の価値を認めさせれば、新しい雇用契約を貰うことが出来るさ。」と言って私を慰めました。彼らは悪い人達ではないし、一生懸命私の状況を良いように捉えようとしているし、会社に対しても「ビジネスは厳しいから、雇われている以上必死になって働いて、雇用している人に恩返しして行かなければ行けないよ」と私に諭そうとしてくれました。言いたいことは分かるし、その通りな部分もあると思うんです。

でも彼らは社長に近い位置にいて、会社の経営判断やチームへの方向性だって(私には一切明かすことも無く)直ぐに知ることが出来て、どんな変化が起ころうともある程度は安心して働いて行けることが出来る人達です。またEU出身者なのでビザだって問題はありません。最悪、雇用がなくなってもベルリンから退去する必要がないのです。結局、日本語がわからない社長や経営陣は、日本語で取引先とやり取りをしている私達日本人チームの報告を信じて経営判断を下して行かなければならないので、彼らが気に入らないネガティブな報告をせざるをえない時、その結果を受け入れたくない時は尚更、『日本人スタッフが会社に損失を与えようとして嘘の報告をしているのではないか』とか、『あいつらは結果を出していない。』と私達を信用しない=評価しない、という思考サイクルを持つようになっていたのです。日本国内でも希少価値が高く、ましては700円で仕入れ価格が安定している商品を、信用関係もまだ薄い海外の会社が300円で買い付けることが出来ないと言うことを全て『気に入らない報告』で片付けられてしまっても、本当に困るんですけどね。この無茶ぶりを二年間耐えてきた先輩ってスゴい、っていうか本当に耐えないで欲しかった。。。先輩は二年経って体重が2/3に減っていますからね。

結局彼らとの会話が終わってから、私の心のモヤモヤはぬぐい去ることは出来なかったけど、私には一つの情報が手に入りました。「なんだかんだ言っても、労働ビザは申請出来るらしい。危ない橋を渡ってフリーランスビザを無理矢理取りに行くよりも、このまま長いものには巻かれて、大人しく労働ビザで申請した方が良いのではないか。」この労働ビザの可能性は、私をとても悩ませました。

 

「アナタの為なら何だって協力する」と即断してくれた友人の言葉「今すぐ会社を辞めること自体がリスクじゃないのか」

私には東京でバリバリの外資系で働いている親友がいます。彼女とは本当に付き合いが長くて、辛い時には支え合って助け合って生きてきました。実は前に一度、今の仕事に関して相談をしていたのです。その際に今の会社がとても信用出来ないこと、そして転職活動が上手くいっていないことも話していました。

彼女に現状を伝えて、声を振り絞って「何かあった際には、頼らせて欲しい」とお願いした時、彼女は「分かった」と即断してくれました。「アナタの為なら何だって協力する。」と。申し訳なくて、情けなくて、何よりも悔しくて。涙が溢れて止まらない私に、彼女は冷静さを欠かないようにと諭してくれました。

「まあ、焦ってもしんどいだけだし。淡々とやることをやって自分がなりたい方向に持って行こう。大変かもしれないけれど、あなたには帰ってこれる国も家もあるし、変に気持ちを崖っぷちに追い込まなくてもいいんだよ。まずは120%ビザを確実に取る為に必要なこととリスクを洗い出す。今すぐ会社を辞めること自体がリスクじゃないのか、冷静に考えた方が良いよ。今すぐ出たい気持ちは分かるけど、使える部分は会社を利用しないとね。職無しでビザなしになったら余計に焦ってしまうからね。」そして数時間後、「あなたには帰ってくる国も家もあるんだから、帰国したとしても日本で仕事が見つかるし、大丈夫だよ。」と励ましのメールが改めて届きました。「帰国したっていいんだ」そう思えることは大きな励みとなりました。

フリーランスビザ申請は明らかな博打。真剣にフリーランスとして働いてきた人達をバカにしていないか。

フリーランスのビザを習得するにあたって、必要となる書類は沢山ありますが、一番は何よりも推薦状が必要となってきます。具体的に「彼女には将来的にこのような仕事を依頼して働いてもらうつもりですよ。毎月コレぐらいの金額の仕事をコレぐらいの期間、請け負ってもらうつもりです。」と日本やドイツの会社、もしくは個人から推薦状も頂いておく必要があります。これはハッタリでも有効です。会社や個人の経営状況も変わりますので、実際に仕事が発生するかは審議されません。推薦状がある、この事実が大切なのです。目標としては4枚ぐらい集めたら良いとのこと。推薦状を書いてくれそうな個人事業主さんや会社の方に、これからお願いをしてみなければいけません。推薦状が一ヶ月で何枚集まるのか。これは博打としか言えません。

でもね、私もしフリーランスビザが取れたとしても、その後の生活の保障が一切無いんですよ。仕事だって一応は辞表を出したあとの会社の反応は伺いますが、その後「さっさと出て行きやがれ!」とキレられる可能性だってありますし。彼らがフリーランス契約のオファーに乗ってくるとは確信はありません。だから東京の親友に諭された「職無しでビザなしになったら余計に焦る」という現状が最悪です。その時、今日のテーマ「何を持って最悪を定義するのか」の答えは、「ビザ無しで職無しになること」だと思いました。

そして私がやってしまおうとしている方法は、ものすごく失礼なことだと自覚しています。ベルリン移住を目指した当初、沢山参考にさせて頂いたベルリン在住のブロガーさん、ライターさん達の記事から垣間みても「フリーランスでやって行くことは簡単では無い」し、そもそも「ものすごく準備してビザ申請に取り組んでいる」ことが分かります。私がハッタリや他の人達の協力を得てビザ申請を行なおうとしていることは、端から見たらものすごく「ベルリン在住の既存のフリーランサーの方々をバカにしている」、そう思われてしまうのではないかとも危惧しています。自分が必死すぎて周りが見えなくなる、そんな状況にも陥り易いけれども、ここでハッキリお伝えしたいのは「他の選択肢が無いから全力でフリーランスビザを取りにいこうとしているけれども『一ヶ月で取れちゃったよ、ちょろいな!』みたいに、決して既存のフリーランスの方々をバカにするつもりは無い」ということ。本当に、他の選択肢が現状ないので、このまま突き進むしか無いんです。だから先日からの投稿でもし気分を害されたフリーランスの方がいたら(現在まで苦情を受けたりはしていないのですが)私にはそのような意志はないと言うことだけお伝えしたいです。それ以上にもう、尊敬と感謝しか無いので。ネット上にて沢山の情報提供を本当に有り難うございます。

 

信頼出来ない、安心出来ない。「昨日の話」と「今日の話」と「明日の話」が違う。それでも確実なビザの為に会社に残るのか?

火曜日に「フリーランスビザ取得を目指そう!」というアイディアを持ちました。水曜日には「三ヶ月後の解雇通知」を渡されました。木曜日には「解雇通知を受け取ったとしても、労働ビザ申請には支障はない」との情報を得ました。ここにきて私には「確実な労働ビザ取得の為に会社に帰属するのか」それとも「不確実(推薦状もまだ集まっていないし、その後の仕事の当てもないし)な未来が待っているフリーランスビザ取得を目指すか」重大な二択を迫られることになりました。

「何を持って最悪を定義するのか」この一点に絞れば「ビザ無しで職無し」の状況が最悪なので、頭を冷やせば、まずは「確実なビザ=労働ビザ」をこのまま申請に行くことだと思います。

木曜日の時点ですべての情報や知恵が集まって、眠れない夜を過ごしました。どうすればいいのか。個人の気持ちや感情に左右されて、博打を打つべきなのか。それとも、ここはグッと冷静になって、まずは労働ビザを申請して、耐えながらも3ヶ月の間に転職活動を必死で行なうのか。目の前には「確実な労働ビザ」がぶら下がっていて、その横にはちょっと遠くに「不確実なフリーランスビザの可能性」が輝いています。推薦状を書いてもらうにも、誰かに迷惑がかかるかもしれない。自分の感情の為に、多くの人を巻き込んでいいのか。

「確実な労働ビザ」さえ取得してしまえば、きっとまた一人で頑張れるはず。皆は既に助けてくれたから、もう少し自分で頑張ってみよう。そう決意して金曜日の朝、私は会社に行きました。いつも以上に働いて、ランチタイムではこっそり会議室で泣きながら、パンを食べても吐き気がしてトイレでもどしたりして。「なんでここまでしてベルリンに残りたいんだろう」とすら泣けてきて、それでもずっとお世話になっていた、フリーランスに関するアドバイスをくれていた人にその日は会いに行く予定でした。自分からお願いしたのに、約束をすっぽかすわけにも行かない。ちゃんと考えていることを伝えなければ。「結局、フリーランスビザ取得にはハードルも迷惑も高すぎるので、労働ビザが取得出来ると分かったから、大人しく労働ビザをまずは申請します」と伝えること、ものすごく悔しいし、応援してもらったのに申し訳なくて、辛かったです。

たまたま会社の先輩が、私が相談をしている方の同居人(プロの美容師さん)に髪を切ってもらう話にもなっていたので、先輩と一緒に出掛けました。道中、先輩に「とりあえず労働ビザを取って、もう少し頑張りますよ。」とお伝えすると、ものすごくものすごく哀しい顔をされていました。私の決断の辛さが、一番分かるのは彼女だからです。フリーランスの友人宅に行くと、私はお兄さんに自分の考えを話しました。会社の先輩は楽しそうに髪の毛を切ってもらっています。「一週間、死ぬほど寝ないで考えに考えて、考えることにも疲れちゃうぐらいに考えたけど、確実なビザが一番大切だって思ったんです。」フリーランスのお兄さんは「うーん。でも、その会社に所属したまま転職活動するのって難しくない?だって酷使されることが目に見えているし、解雇の恐怖で脅されているから酷使されても働かなきゃ行けないし、そんな疲れ切った状態で転職活動の面接に言っても採用されるかな?」と現実的な見解をくれます。暗に「それで本当にいいの?」と聞いてくれています。私は「リスクを取ることが出来る体力や精神力が、今の自分にあるか自信が無いんです。」としか答えられなかった。ずっと応援して親身になって相談に乗ってくれていたお兄さんは「その決断でいいなら、それしかないけどね。」と、では会社に残るなら何が出来るのか、その方向で色々と一緒に考えてくれました。何一つ良いことが起こりそうになかったので、これまた「労働ビザが取れる(しかし3ヶ月後には解雇される)」以外にはなんの魅力も無い選択で、もう笑うしか無いほどでした。

その時、「きゃー!可愛い!」との声が聞こえます。長年のストレスフルな仕事で髪も切りに行っていなかった先輩が、雑誌のモデルさんみたいに可愛いボブスタイルになっていました。暗い話は忘れて「かわいい!かわいい!」と先輩の髪を褒めながら、「美容師さんとすごく盛り上がっていましたね、お二人で何の会話をしていたのですか?」と何気なく質問したら「アナタの話よ!」と即答されました。

ベルリンに来てからずっと私の髪も切ってくれていた美容師さんは私が会社でハッピーではないことを知っていました。その上で先輩から私の身に起きていることを聞いたのでしょう。とっても感情でものを話す方なんです。大きな声で「辞めてしまえ、そんな会社!」と言われました。4年間、クッソみたいな美容室で働きながら、ドイツ語を磨いてやっと素敵な美容室に転職した美容師さん。この人だったら「辛い環境を今は耐えて、それから次のステップに進めばいいよ」そんなことでもいって「冷静に労働ビザを取りに行こうとする」私の判断を一番支持してくれると思っていたのです。でも美容師さんは「クソみたいな会社にしがみついても何も良いこと無いから!俺が経験してきたから!辞めちまえ!」と一喝。その瞬間に私は号泣してしまって、先輩にしがみついて泣きました。先輩は「もうちょっと、私の新しい髪型を褒めて欲しいんだけどな。」と言いながら、私をずっと泣かせてくれました。

 

「最悪」とは心が折れてしまうこと。「正しい判断が出来る人間」ではなくなってしまうこと。

「まあ、ご飯でも食べましょう。」とフリーランスのお兄さんが美味しいグリーンカレーを振る舞ってくれました。(お世話になり過ぎだろう。。。)『労働ビザ、フリーランスビザ、労働ビザ、フリーランスビザ』とぐるぐると新情報が手に入る度にめまぐるしく最善の判断を目指しながら動いてきて、思考も体力も落ち切っていた私は美味しいカレーが食べれなくて、半分以上残してしまいました。ビザ以上に大切なこと。皆と笑って美味しいご飯を美味しく食べられること。本当の「最悪」は「ビザ無し職無し」ではありませんでした。本当の最悪は心が壊れてしまうこと。私が考えていた「ビザ無し職無し」は最悪でも何でも無くて、日本に帰ってしまえば打開される問題です。実は英語の教員免許を持っているので、日本に帰ったら採用試験を受けたって良いのです。帰ってきて一緒に仕事をしよう、と誘ってくれている友人だっています。「ビザ無し職無し」になったとしても、それは全くもってして最悪でもなんでもありませんでした。

また一晩考えて、先ほどフリーランスのお兄さんに連絡をしました。「すみません、お願いがあります。」と推薦状を書いてもらえないかと。後ほど真剣に頭を下げに行こうとしたら、「もう書くつもりだよ?」と既に一枚確保出来ておりました。あいやー。マジで捨てる神あれば、拾う神もいるんだな!有り難いと言うか、ビックリしました。ついでみたいに「明日ボルダリング行く?」って、そうだね、そろそろ行かなきゃいけませんね。怒りのエネルギーは、ちょっとどこかで発散させる必要があるのかもしれません。

結果として、紆余曲折しながら私は前進しているのですが、選択した答えが『フリーランスビザ取得に全力を尽くす』なので、これからはビザ申請に必要な推薦状や書類の準備を進めて行くことになります。今回の件で、ベルリンのスタートアップ界隈の違法ギリギリな労働環境や最悪な企業がやってくる手口、また法律の抜け穴なども分かったので、時間を見つけて書き残して行きたいとも思います。私の身におこっていることはきっと「誰かに伝える為」に経験するべきだったのだと思うことにしました。だって、この現実を知らないままにベルリン移住を目指す人がいたら、きっと打ちのめされてしまうかもしれないから。「人生敗者復活戦」を書き綴ることが誰かの役に立つのであれば、辛いことも「体験取材だ」と思って頑張ってみます。もうしばらく見守って下さいませ。