ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

ベルリンの最悪なスタートアップで働いて見えた「国際色豊か」な街で買いたたかれる外国人とドイツの若者の現状

半年間の試用期間終了を控え、オーナーから「無価値」との評価を頂きました。

「半年間働いてきた君を見て、唯一気に入っているのは君のフレンドリーな人柄と性格だけ。仕事内容には一切満足していないし、何の結果も出せていないじゃないか。唯一成功したようなプロジェクトも、俺がプレッシャーを与え続けたから進行出来たんだ。君を雇ってあげてもいいけども、君の態度次第だ。雇用契約は結ばない。試用期間を3ヶ月延長してあげるから、その間に結果を出せば考えてあげないことも無い。」

半年間ある会社で働いてきて、試用期間が終わる一週間前。オーナーから上記のような評価を頂きました。社長もチームリーダーも同席していた会議室で、私はただ「価値がない」と言われ続けました。とってもとっても理不尽で予想していた以上に酷い言われようだったので、「給料交渉前になると徹底的に相手を打ちのめす」という退職者から聞いていた話を、身を以て実感した時でした。

転職を一度は中断したけれども、さっさと再開しようと思いました。この瞬間に「あ、風が吹いた」と思いました。ビザ更新の為に一度は転職活動を休憩しようとしたけれども、「おいおい、待てよ。こんな不健康な場所に留まっていては行けない。」と。「早く出て行かないといけないな」と詰めの甘かった自分を反省しました。その場で反論も沢山あったけど、オーナーのドメスティックバイオレンスのような飴と鞭のやり方は分かっていたし、一度似たようなことを日本でもされたことがあるかいちいち疲労してもいけません。ただひとつだけその場でハッキリ伝えました。

「3ヶ月の試用期間の件も分かるけれども、事実として私は8月末にビザを更新しなければ労働出来ないし、ビザを申請するには最低でも1年間の雇用契約が必要です。3ヶ月の試用期間の契約ではビザは更新出来ないので、ここで働くことも、貢献することも出来ません。」

社長は「ビザの件はちゃんとしよう。」と直ぐに答えてくれましたが、オーナーは「そんなことは関係ない。2週間ぐらい後に考えればいい話だ。今は何も返事はしない。」と徹底して「今の君は雇う価値はない」というメッセージを与えてきました。それでも未来の話をするのは私を必要としているからだし、長年勤めた日本人スタッフが残り2週間で退職する現状で、彼女の仕事を引き継いできたのは私しかいない訳で。私が強く出る前に、出鼻をくじいておく、そんな意味合いがあったのだと思います。

 

スタートアップ多産多死「起業の聖地」と呼ばれるベルリンで起きていること

スタートアップ企業にもそれはそれは素晴らしい会社も沢山あって、本来の素晴らしい会社では成長速度が速いため会社の成長とともに自身もスキルアップしていったり、人手が足りない部分があるからこそ新しい経験もトライ&エラーで行うことが出来ます。それに「新しいサービスを作り出している」という自負がある為やりがいもあるでしょうし、お給料がものすごくいいスタートアップだって存在します。ちゃんとベルリンにも成功していて社員をフェアに扱うスタートアップ企業もあることを先に述べておきますね。(友人の旦那様のスタートアップでの給料は大企業よりも高待遇だそうですよ。)

でもベルリンには私のようにスタートアップ企業で働く大変さを実感したり、過去に経験した人達も沢山います。

それは立場が弱い外国人だけではなくドイツの若者だって同じなのです。私が会社での悔しい経験を話せば「よく聞くベルリンのスタートアップ企業の苦労話だ」と長年ベルリンに住んでいる日本人の友人に言われるし、ドイツ人の友人ですら「私も同じ経験がある」と言います。スタートアップ企業は基本的にお金がありません。企業のヴィジョン(社会的意義がある新しいサービスだったり、単純に面白いサービスだったり)がハッキリしていて社員がモチベーション高く働いていると成長速度も速いのでお金も稼げますし、その分人材にもペイオフ出来れば更にいい人材が集まる好循環になります。でも私が働く企業のように社員が「いつ首を切られるか」とビクビクしたり、オーナーのビジョンがその日の気分で揺れるような会社ですと社員のモチベーションも低ければパフォーマンスも低いです。未経験でも給料が安い社員を雇い入れて無茶な要求をしているので、正直皆「早く転職したい」と思って働いていますから業績にも結果が出ないですし、お金は稼げません。その為人材を買いたたくし、「お金」だけをモチベーションに集まってくる安い人材でしか企業が成り立ちません。お金以外に何も提示出来ないのにお金も提示出来ないので、スキルを身につけた人材をキープ出来ません。疲労し切って体調を壊す社員を何人もみました。でも会社は潰れません。ベルリンは安くて使える人材が山ほど供給される街だからです。

 

Working student(就労学生)、インターンと言う名前で搾取されるドイツの若者と、ビザが欲しくて買いたたかれる外国人

 

まず、ベルリンはドイツ人でも仕事で苦労している場所だと伝えたいです。ベルリンでは外国人の人材が常にやってきますから、ヨーロッパでの実績が無い彼らのコストは低いです。まずは安定した最初の仕事を得ることで必死なので、彼らの給料は安い。私だって安いです。最低賃金しか頂いていません。でも私にだって、買いたたかれる外国人の彼らにだってある程度のスキルも経験もあるんですね。そんな人材が豊富な街で、ドイツ人の若者は彼らと比較されてコストパフォーマンスで値踏みされています。またヨーロッパは実力社会なので、日本のような新卒採用と言うポテンシャル採用はありません。企業でのインターン経験が無いと通常雇って貰えないので、だから学生の間は甘んじてインターンをします。インターン、Working student(就労学生)、色々な言い方があるにせよ、企業に取っては安く使える有り難い人材です。外国人も買いたたかれるけど、ドイツ人の若者も買いたたかれている現実があります。

ドイツ人の友人も最初はある企業でインターンから始めました。実家のある街を離れて大都会のベルリンにやってきたので、最初の仕事は選んでられません。安い給料で働いてきたインターン期間が終われば本契約だけれども、本契約前には皆同様に買いたたかれます。「君は無価値だから給料は上げられない。雇ってやるだけ有り難いと思え。」このような状況から抜け出すまで、本当に辛かったと彼女は私に話してくれました。ドイツ人であれば労働ビザも不要だし、本当に腹が立てば実家に帰ることだって出来ますが、街自体はとっても楽しいベルリン暮らし。恋人だっているし、簡単に仕事を失うわけにはいかない。ドイツ人の若者だってベルリンのスタートアップ企業で苦労をしています。

それ以上に厳しい立場にいるのがビザが必要な外国人です。「外国人としてドイツで雇用される正当性」のある仕事をしていないといけないので、会社に付帯する形の労働ビザである以上、会社側に足下を見られることは少なくありません。EU圏の若者はまだビザの心配は少ないですが、EU以外の外国人は常にビザの問題がついて回ります。たとえ正式にスターバックスで働いていたとしても、「スターバックスだとドイツ人でも難民でも、誰が働いても一緒だ」と見なされて「わざわざスターバックスで働かせる為に日本人にビザを与える必要が無い」とビザ申請が却下されます。ベルリンで暮らしたい外国人、若者は沢山いるので、もし気に入らない社員がいればすぐに解雇して次を雇えばいいのです。このような背景から人材を大切にしない企業体制が平常化するのでしょう。

 

「お前は無価値だ、役に立たない」社員をコントロールする為に使われる、人格破壊戦法には無言で対応を。

「お前は無価値だ、役に立たない」「ココ以外ではどこでも雇ってもらえないが、ココだったら拾ってやってもいい」という人格破壊と刷り込み。されちゃっている人、多いんじゃないですか?これはベルリンに限った話じゃなくて、日本でも同様にブラック企業の話題は尽きませんよね。人事のやり方は分かりませんが、少ない社会人経験でこのやり方をされたのは2回。一度は日本企業にて希望配属先を諦めさせる為に。二度目はベルリンで給料交渉をさせない為に。

彼らのやり方は同じ。(人材コントロール術、みたいなのがあるのかな?)まずは人格破壊と言いますか、如何に自分が無価値でどうしようもない人間であるか、高圧的に最低な評価を下して相手を萎縮させます。ショックで頭を空っぽにさせてから、企業側に都合がいいことを詰め込んで行きます。相手がとても若かったり、客観的に自身を俯瞰出来ない場合だと、ショックを受けたままの状態で企業の想い通りに動かすことが出来ると思います。

私は最初にやられた時、ショックで身体が固まってしまったし、その後は「ダメな私でも雇ってくれているだけ有り難い」と自分を最低の存在だと卑下して、会社に感謝すらしてしまいました。もちろん空回りのまま仕事に邁進するので内心はボロボロ。自分すら見失った人間が仕事で成功することは出来ないと思いました。そもそも私は、日本社会で退職した経験から立ち上がりたくてドイツまでやってきたんですよね。

今回は直ぐに「同じことをされているな」と分かったので特に慌てることはなかったものの、やはりショックですし悔しかったです。最初は自分の意見を述べてみましたが、相手は揚々として私が発した「I didn’t know(分からなかった)」という単語だけを拾い、発言が意味した文脈から切り離して更なる攻撃に使われました。その後の反論はほとんどしませんでした。むしろ全て無言で受け止めて、「言いたいことは分かりました。少し考えてみます。」ぐらいの発言に留めておけば良かったとすら思いました。先手必勝の戦術ですから、不意を食らった相手は失言もしますし、失言の揚げ足を取って更に相手を不利な立場に追いつめるのが定石です。あまり発言しないこと、これこそが一番のカウンターアタックだと思います。もし同じ手口を使われた際には、(ショックなのは分かります。悔しい気持ちも痛いほど理解出来ます。でも)その場での発言は控えて、「考えてみます。」程度に抑えて下さい。相手はあなたを怒らせて失言するのを待っています。逆に冷静に対応されると作戦の失敗を感じ、相手も戦術を変えなければならないので少しは動揺するでしょう。感情に流されてはいけないし、感情を口にしては不利な立場に立たされてしまいます。

 

人格破壊と刷り込みには魔法の言葉で屈しない。“Dont take it personal. (個人の問題だと思わないこと)”

最悪な面談を終えたのは金曜日の夕方。退社した足でビールを3本買って、友人が待つ公園に向かいました。ドイツのビール瓶は500mlが普通。1.5Lのビールで荒れた心を洗い流してしまいたかったので、お昼に貰っていた「仕事が終わったら一緒にピクニックしようぜ!」という友人からの誘いは救いでした。

公園で長閑にビールを飲んでいる友人達を見つけたら、直ぐに堰を切ったように感情が溢れ出しました。悔しかった気持ち、怒り、理不尽に屈したくないプライド。全てを話し尽くしたら、友人が最初に一言。「“Dont take it personal. (個人の問題だと思わないで)”」と。ベルリンに住む以上、同じようなやり口で傷ついている会社員はいっぱいいて、特にインターンの若者や外国人には同様のことが起こっていること。ベルリンであったりスタートアップの特徴として起こっている現象で、決して私には非が無いこと。「君のせいじゃない。金がない会社は皆に同じことをしてくる。大丈夫、必ず抜け出せるから。」と伝えてくれました。彼の彼女はドイツ人ですが、彼女も同様の苦労をしたとのこと。「毎日疲れて帰ってくる彼女を見るのは辛かったよ。本当に可哀相だったし、腹が立った。でも感情に流されてはいけないよ。君は現実問題ビザが必要だし、その為には会社に属していた方がいい。虎視眈々と機会を狙って出て行けばいいから、それまでの辛抱だと思って耐えるんだ。耐えられないときは一緒に飲めばいいし、君が素敵な子だってことは知っているから、ちゃんと次の仕事は見つかるよ。」と、全て理解した上で一緒に戦ってくれると励ましてくれました。泣き出した私に気づいて、彼の彼女も会話に加わってくれます。彼女が辛かったこと、今の仕事では楽しく働けていること。「ちゃんと私も抜け出せたから、大丈夫。次の会社との出会いを探し続けよう。負けないで。あなたが日本に帰っちゃったら寂しいわ。」と、励ましてくれて彼女の会社での日本人の職がないことを悔しがってくれました。

彼らの「“Don’t take it personal. (個人の問題だと思わないで)”」と言う言葉は私にとって魔法の言葉でした。私の身に起こっていることは、私自身の人間性に何ら関係がないこと。仕事への取り組み方も、結果も、不真面目ではなかったし、どこまでやっていたとしても天井知らずに要求されるであろうことも。もし不利な立場に立たされた時、理不尽な要求を与えられているときは、その状況が個人の失態からきているのか、客観的に考えてみて下さい。会社が何故そのような方針を取るのか。悔しいけど、冷静に分析してみて下さい。個人の問題にすり替えられているけれども、そうじゃない。違うんです。問題は別にあって、そこに利用されているだけ。だからちゃんと、アナタの心を守って下さい。不用意に傷つけられるのを防ぎましょう。

 

ベルリンには求めるライフスタイルを求めてやってきた。次は理想のキャリアを目指そう。これぞ人生敗者復活戦。

「ベルリンから人生敗者復活戦」と名付けた通り、なかなか波瀾万丈に物事が進んでおります。しかし、仕事以外の生活の面ではとてもとても充実していて、友人達も大好きだしベルリンと言う街だって大好きです。一週間のうち40時間以上を過ごす会社での時間は確かにハッピーではないけれども、それでも日本に比べれば業務後の時間は充実しているし、休日だって面白いイベントに溢れています。まずは理想のライフスタイルを手にすることが出来ました。お金はないけれども、30歳までに女は結婚しろだとか、社会からの過度なプレッシャーも無ければ仕事以外は楽しいです。仕事だって、内容自体はとてもやりがいがあるし誇りを持って働いています。会社の経営方針と組織作りが人間として尊敬出来ないのが難しいだけです。人生敗者復活戦の言葉通り、少しずつ理想的な生活に近づいているとも思うのです。日本で毎日に頑張る友人達を尊敬しているし、いつも励まされています。日本社会を否定するつもりもありません。私が、ベルリンで生活したいと思っていただけだし、実際にベルリンの生活が好きなだけです。望んで起こした行動によって引き起こされる苦労はきっと幸せの一部。ここで立ち止まっては選択が間違っていたことになってしまいます。仕事が決まらなくて苦労したときは本当に辛かった。日本帰国だって具体的に検討しました。いつだって帰ることは出来るので、その瞬間までは頑張ってみたいですね。「充分に戦ったという記憶があれば、恥じること無く次のステップにいけるから。」と友人も教えてくれました。ビザ更新が出来るか、そこから怪しくなってはきましたが、まあ出来る限り頑張ってみようと思います。

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因に金曜日の夜は結局ビールを2Lとショットをダブルで飲みました。荒んだ心は綺麗に洗い流されて、二日酔いで死んだ土曜日でしたが、日曜日は美味しいイタリアンを友人と食べて月曜日からの戦いに備える週末となりました。金曜日の夜、深夜の道端の「誰でも勝手に本を置いて行って、誰でも勝手に本を貰って行ける市民図書館」より、写真の本をもらってきました。「Ich und meine Magnum (私と私のマグナム)」って本。酔った思考で私の心境にピッタリな本を選択していたようです。なるようになるか!

 

追記:EU圏内からドイツにやってきた若者の苦労についても記述しました。もしご興味があればコチラもご一読下さい。ポルトガル出身で建築家の卵の友人が同様に試用期間を生き抜きながらベルリンで頑張っています。

morianna.hatenablog.com